序章

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* 野菜、果物、衣服、小物、果てはペットまで。何から何まで揃った特大市場。それがこの街、ライジェントの誇れる特色だ。 先代の王が隠居して、新たにこの街の王となったのは、まだまだうら若き女王、美瑠季(ミルキ)。そして、そんな彼女を支えるのは、彼女の側近であり、夫である人物、優人(ユウト)。 二人は、国中で噂になる程のオシドリ夫婦。 加えて二人共に精霊がついているというオマケ付きだ。 優人には“風の精霊風我(フウガ)”。 美瑠季には“時の精霊ルゥーラ”。 むやみやたらに精霊の力は乱用しない。 あくまでも、二人についた精霊は、二人にとっての良き理解者であり、“家族”だ。 そんな二人が治めるお膝元。だからこそ今日もライジェントは穏やかで、優しく平和な時を刻み続ける。 けれど。 平穏と喧騒は、表裏一体。 穏やかな街にこそ、賑やかな人々の声は溢れている。 静寂の中では、怒鳴り声は驚くほどによく響き渡るものだ。
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