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「バイバイ、要くん」
朝方まで、要くんと二人で寝そべって
長いようで、短い夜は終わったんだ。
ここは、要くんの場所で、私の場所じゃない。
私は、雨宿りしてただけ
雨が止んだら、帰らないといけない。
「帰り道、わからないって、言ってたよね、途中まで一緒に行こうか」
相変わらず、親切心な要くんに
「てへっ」と、ごまかすように笑った。
「立夏……」
要くんも、ぽりぽりと頭をかいて、笑った
扉を開けて外に出る、空は晴れ渡る、青天。
「立夏」
「……ん」
「いつでも、来ていい、立夏が泣きたくなったら、また来ていい」
「もう、泣かないよ、だから、来ない」
お別れとは言わなかった
お別れ言葉は嫌いだから。
「そっか……」
どこか、名残惜しそうな、要くん
「いろいろ、ありがと、要くん」
「うん、最後にさ」
「「んん……」」
キスをして、走り去るように逃げ出した。
どこまでも、走って、走って、流れる涙を気づかない振りをして
走って、走って
要くんも、忘れるために
私は、走った
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