ステーキ

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目の前の熱く焼けた鉄板には付け合わせのニンジンにミックスベジタブル、ホクホクの皮付きポテトがのせられメインの肉を引き立てている。 ソースをかけると焦げ目のついた肉の表面を伝い鉄板に流れ出る。と同時にジュワという心地良い音と共に香ばしい匂いに混ざった香辛料の香りが、鼻から入り込み空っぽの胃をこれでもかと言うくらい強く刺激する。 フォークで押さえつけると柔らかい感触が指先に伝わってくる。ナイフを入れると殆ど力をいれなくとも一切れ切り出せた。 薄いピンクの切り口にソースが滴り落ち肉汁に程良く絡みつく。 ソースをこぼさないように、慎重にそして素早く口に放り込んだ。 少し熱いがまずはソースの味。柔らかく弾力のある肉を歯で噛みしめると肉汁が口いっぱいに広がっていく。 ニンニクの香りに、肉本来の味を焦げと絶妙の塩加減が一層引き立たせ、少し遅れて旨味が押し寄せて来る。 咀嚼するたびその味を変え、食感を変えていく。飲み込むのが勿体いなかったが十分に味と香りを堪能し喉を鳴らして飲み込んだ。
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