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高校生になって髪の毛の色をごっそり変えてしまったたけしちゃん。
お父さんにぶたれた顔でこっそり教えてくれました。
「この髪、俺もあんまり好きじゃないけど、こうしてれば誰にも心配かけずにすむんだ」って優しい目をして笑っていました。
男の子の世界がそれはそれで大変なことは承知しています。
きっとそれはたけしちゃんなりの防衛策だったのでしょう。
自分の為ではなく、誰かの為の。
優しいたけしちゃん。
鬱陶しがることもなく、このおいぼれを気遣ってくれるたけしちゃん。
一度だけ、おばあに怒ったことがあったね。
コットン生地の白いハンカチをプレゼントしたら、「こんなのいらない!カードが欲しかったのに!」って泣きながらおばあをポカポカ叩いたね。
そんな小さい頃のことを気にしなくてもいいのに、今もたけしちゃんが大事に使ってくれてるの、おばあはちゃあんと知ってるよ。たけしちゃんが優しい子だってこと、おばあはちゃあんとわかっているよ。
たけしちゃん。
たけしちゃん。おばあはもうすぐいなくなるけど、たけしちゃんは胸を痛めなくていいからね。
たけしちゃん。
子供が親より先に逝ってしまってはいけないよ。
親孝行なんてしなくていいから、親不孝をしてはいけないよ。
たけしちゃんがいてくれたから、おばあの人生は「ああ、幸せだったなぁ」と思えるんだよ。
たけしちゃん、ありがとう。
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