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(何よ、その笑顔!
私にはそこまで微笑んでくれないくせに‥
何かズルい)
芽依がそんな風に考えていると、沙耶はフッと笑ってこう聞いてきた。
「芽依は愛されてるわね?
琉珂さんも紳士的だけど、真城くんも優しいし」
「そうかな?
意地悪するよ、真城」
「まあ、それは愛情表現の裏付けで‥
本当は芽依が好きなんじゃないかしら?」
「…真城が、私を?」
「三年も護られてるのに、無自覚?
私だったら惚れちゃうけどなぁ‥」
「…そ、そう。
沙耶はどうして恋できたの?」
「そんなの自然とだよ。
この人いいなって直感的に思って、気に留めたりしてたら好きになっちゃったとかさ‥」
「そんなもん?」
「大体の人はそうじゃないかしら?
気にならない人には人って関心も持たないからね?」
「そ、そっか‥
私は真城を気に入ってるし好きだけどそれは恋愛感情じゃないんだよね?」
「気になってるなら、多少は意識はしてるんじゃない?
芽依は真城くんが他の子に笑顔見せたり楽しそうに会話してたら嫌な気持ちになる?」
「た、たまに‥
さっきも私には見せない笑顔振り撒いてるし嫌だった」
「ふぅーん?
じゃあ、真城くんに彼女が出来ちゃったらどうする」
「…凄く辛い。
寂しくなるよ」
「ふむふむ。
大体は分かったわ」
「沙耶、私‥
真城と付き合いたいけどいつも誤魔化されるんだよ?
それってどう思う?」
「なるほど。
真城くん、ちゃんと考えてくれてるわよ」
「…?」
芽依はキョトンとした顔をすると、首を傾げて困惑顔になる。
「沙耶、どういう意味?」
「芽依はお子様ね‥
無鉄砲で危なっかしいし」
「それ、貶してる?」
「まあ、芽依は可愛いから‥
真城君もまだ待ってあげてるみたいね」
「…サッパリわかりませんが?」
芽依が可愛く首を傾げていると、沙耶はギュッと腕を組んで歩き出す。
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