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「沙耶ぁー
おはよー」
「ちょっと!?
何抱きついてんのよ、変態」
「変態はないっしょ!」
「早く離れないと殴るわよ」
「じゃあ、殴って?」
「あんたはMなの!?」
「嫌、俺はSだけど?」
「あっそ」
沙耶が呆れた感じで佑を体から引き剥がすと、芽依とスタスタ歩いていこうとする。
「ちょっ!?
沙耶待ってよ」
「待ってる訳ないでしょ?
授業あるから急ぐんだから」
「じゃあ、昼に迎えに行く!
一緒に食べような」
それだけ告げると、佑はニッコリ笑って教室へと戻っていった。
「はぁ‥」
「沙耶、モテモテだね?」
「モテるのはアンタでしょ?
家にも学校にもアンタを好きな奴がいっぱいじゃない」
「学校では特に何もないけど?」
「それは、真城くんがボディーガードって知ってるからよ。
手を出したら絞められるから迂闊には手が出せないだけよ」
「そ、それってバリケードみたいなものだよね?」
「芽依も可愛いから油断したらダメよ?」
「沙耶も美人だよ?
佑君も沙耶が好きだよね」
「…さぁ?
告白された訳でもないし」
「でも、凄く懐いてるよね?」
「ペットみたいな感じよ。
ちょっと子供っぽいトコあるし」
「沙耶、お昼どうするの?
私は真城が居るから大丈夫だよ」
「とりあえず、会長にも呼ばれてるからそれも行かないとだわ。
私、会長苦手なタイプなんだけどね」
「ふふっ
じゃあ、佑君の方が好み?」
「うーん?
佑はお馬鹿すぎだしな」
「でも何か憎めないよね?
可愛いし」
「まあ、確かに可愛いけど…
彼氏にするにはどうかなって思うのよね?」
「沙耶、佑君好きだよね?
何で付き合ってないの?」
芽依がそんな直球を投げ掛けると、沙耶はハァーっと溜息を吐いた。
「私、好きとか言ったかしら?」
「えっ?
でも、好きな人居るって」
「居るけど、佑じゃないわよ?」
「じゃあ、誰が好きなの!?」
「…まだ言わない」
沙耶が悪戯っぽくそう告げると、芽依はムッとした顔をして見せた。
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