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不良グループを抜けた俺。
勿論、辞めると言ってリーダーは黙ってなかった。
抜けるって事は裏切るって事にも捉えられるからな。
まあ、殴られ慣れてるからそれは別にいい。
それよりも俺は疲れたからすぐにでも寝たかった。
「ん、公園?
誰もいないし寝てても大丈夫そうだな」
俺はそんな事を考えつつも、公園の水道水で顔を洗うと傷口が沁みた。
「やっぱり、ちょっと痛いな」
俺は中坊でよく喧嘩したりしていたが、そんな日常にも飽きてしまったのだ。
だから抜けるのは前々から決めていたから、覚悟はしていた。
「…ねみぃ」
俺はその時殴られ続けた疲れもあり、眠気に勝てるわけもなく眠りの世界に誘われた。
しかし、何やら乗り物が動くような感覚に襲われ目を覚ますと車に乗せられていた。
「な、何だこれ?
誘拐?」
「あ、目を覚ましたのね?
良かったわ」
「あんた、誰?」
「芽依よ。
怪我して寝ていたから手当てしようと思って連れて来ちゃったの」
「ふぅーん?
で、この車はどこに向かってるんだ」
「私の屋敷ですよ。
とりあえず、手当てしますからジッとしてくれます?」
「えっ?
や、やめろ」
俺は思わず芽依を跳ね退けると、逃げようとロックされたドアに手を伸ばす。
「あ、危ないです!」
「うわっ!?
な、何抱きついてんだよ」
「何で逃げるの?
怪我してるのに」
「俺はこんな事されても迷惑だ。
降ろしてくれ」
「嫌です」
「はっ!?
な、何言ってんだ」
「あなた、私のペットにならない?」
「……………は?」
俺は頭を殴られたような感覚に襲われたが、芽依って女の目は本気だと見て取れる。
「まずは名前から教えてくれる?」
「ペットにはならないけど?」
「じゃあ、名前教えて」
「…真城」
「ましろ?」
「…俺の名前だ」
「名字?」
「…青海 真城」
俺がそう告げてジロッと睨むと、芽依はニッコリ笑ってこう告げてきた。
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