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「何で黒縁眼鏡なの!?
何で他の子に笑顔なの!」
「ん、あれは…
作り笑顔だから本当は楽しくないよ」
「そうなの?」
「あぁ。
女子は苦手なんでな」
真城がフッと疲れ気味な表情をすると、芽依はまたギュッと抱きついてきた。
「真城、彼女居ないよね?」
「いないけど、芽依とは付き合わないからな?」
「えぇー
何でそんな事ばっかり言うの!
真城、最近冷たい」
「ほら、歯磨きしに行くぞ」
「うぅ‥
何でよぉー」
芽依が嘆きながら怒っている中、俺はハァーっと溜息を吐きながら前を歩く。
俺は、毎回芽依に抱きつかれる。
その度に緊張していると言うのに、このお嬢様ときたら鈍感過ぎる。
俺が好きだって言っても、芽依は恋愛感情の方での好きではないから意味ない。
「はぁー
本当、我が儘なお嬢様だな」
「な、何か聞こえたよ?」
「別に何もない。
それより、早く歯磨き」
「うん。」
芽依は俺の隣に並んで歩くと、チラッとこちらを上目遣いで見上げていた。
「…ほら、部屋着いたから磨いたら学校行くぞ」
「…うん、わかった」
芽依はションボリ顔をすると、部屋に入って歯磨きをしに行った。
「真城くん、ちょっといいかな?」
「はい、何でしょう?」
「あのさ‥
真城くんは芽依様をどう思ってますか?」
「は?
珍しい質問してくるなよ」
「イエ。
気になっていたもので」
琉珂が遠慮がちにそう告げると、真城はフッと笑ってこう言った。
「俺は好きだけど?
芽依は友達と同じ好きだから」
「そうですか…
確かに芽依様は恋をしたことがないですからね?」
「あぁ。
だから、俺は言わないんだ」
「それでいいのかい?」
「芽依がちゃんと恋するなら、考えるけど‥
今はまだこのままでいい」
真城がそう告げると、琉珂もコクッと頷いて離れていった。
「真城、お待たせ。
学校行こっか」
「あぁ。
鞄持とうか?」
「ううん。
真城は執事じゃないし、自分で頑張ってみる」
「ん、そっか」
真城がフッと笑って微笑むと、芽依はニコッと微笑んで隣を歩く。
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