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そこには小さな女の子が一人立っていた。
どう見ても小学生くらいにしか見えない。
身長は140cmもないだろう。
体つきも、かわいそうなくらい出ているところがなく、いわゆる幼児体型というやつだ。
女の子が「こんに・・」と挨拶を言いかけたとき、その女の子は透の方を見て
「アーッ!」っと大きな声を上げた。
そして、何事かと思った透が、女の子の顔をマジマジと見て、同じく「アーッ!」という声を上げた。
そう、今朝に道路でぶつかった女の子だったのだ。
女の子は顔を赤くさせ、いかにも「ぷんぷん」という擬音が出てきそうな顔をしている。
「なんだおまえら知り合いか?」
覚悟がそう聞くと。
「いや・・朝に彼女とぶつかってしまって・・彼女は自転車で・・僕は歩きで・・・」
透がしどろもどろに説明しているのを見て、女の子が勢いよく口を開いた。
「あんたねー、謝んのはいいけど、もっと自信持って謝んなさいよね!
その、おどおどした態度がムカつくのよ。
男だったらシャキっとしなさいよ!」
透は大きな衝撃を受けたようにビクッとなり、俯き加減に「ごめんなさい」と言った。
女の子は手で「やれやれ」という表情を作ると。
「まぁいいわ、私は六条雷華。
英文科の3年よ。
ダンス歴は15年。
大抵のダンスはできるけど、あえて得意なジャンルをあげるとしたら、ヒップホップかしらね。」
と、少し高慢な感じで挨拶をした。
覚悟は自信満々な雷華の態度に負けないようにと。
「俺がこのサークルの部長、謙崎覚悟だ。
よろしくな!」
と張り合うように、元気よく答えた。
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