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二人がまるで火花が散るかのような見つめ合いをしているなか、部室の
ドアが叩かれる音がした。
ドア付近にいた雷華がドアを開けると、そこには目を見張るような美しい女性が立っていた。
黒髪の長髪で、清楚な顔立ち。
ちょうどいいくらいの凹凸と長い手足。
誰もが完璧を連想させるような美しさがそこにはあった。
透と覚悟が息を飲んでいるのを見て、ムッとなった雷華は「あんた誰?」と、ぶっきらぼうに女性に聞いた。
女性は雷華を一瞥するとフンっと鼻であしらい、雷華を通りすぎて部室の中まで入ってきた。
そして辺りをぐるっと見回した後、透を向いて挨拶をした。
「はじめまして。
あなたがサークルの部長さん?
私は戸田真由美、よろしくね」
そう言われて、透は顔を赤らめながら覚悟のほうを指刺した。
真由美は「あら失礼」という顔をすると、覚悟の方に向き直り、改めて挨拶をした。
「あらてめてはじめまして、部長さん。
いきなりだけど、わたし副部長になりたいの。
まだ決まってないなら、是非お願いしたいわ」
ある意味、おしとやかな外見にそぐわず、図々しい態度に3人はポカンとなった。
覚悟が真由美に返事を返そうとした時、それを制止するように雷華が真由美に近寄りこう言った。
「あなた、挨拶の次に言うことがそれ?
入って来ていきなり副部長にしろなんて、図々しいにもほどがあるわ。
頭おかしいんじゃないの?」
「初対面の相手に「あんた誰?」なんて、失礼なことを言う人に言われたくありませんね」
真由美はそう言うと髪をパサッと掻き揚げた。
部室に緊迫した空気が流れる。
覚悟は少しイライラした面持ちで女子二人を見ている。
透は雷華と真由美が同じ部員だと思うと、これから先が思いやられると思った。
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