ムーブ4

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そして、その後に覚悟がなにかを悟ったような顔で。 「うむ、それがいい。  そして今決まったことが一つある。  戸田、お前が副部長だー!」 透は覚悟の顔を見ながら「決断はえー」と感嘆の声を漏らした。 真由美はまた一回溜息をつくと、次はみんなにアンケートを取った。 「基本ジャンルを決める前に、みんなのできるジャンルを聞いておきたいわ。  たくさんあるなら得意なのをあげてちょうだい」 真由美の言葉のあとに覚悟、雷華の順に自分から答えていった。 「ふむふむ、部長はブレイキング。  六条さんはヒップホップね。  あとは、あなたね草薙君。  どんなジャンルができるの?」 透は黙ってしまった。 できるジャンルがないだけでなく、ダンスに関して まったくの素人だったからだ。 落ち込んでいる様な透の表情を見て、覚悟が口を挟んだ。 「透は俺が面倒をみる。  そいつのことは俺に任せておいてくれ」 「だーめ。  草薙君は私が面倒を見るわ。  だって、あなたズボラそうなんだもん。  それにいまは、できるジャンルの把握をしたかっただけ。  無いなら無いでいいの。  ちなみに私のジャンルはヒップホップね。  けっこうゴリゴリの。  歴は5年くらいかな」 覚悟は不満そうだったが、真由美はそのまま続けた。 「基本ジャンルはヒップホップでどうかしら?  ブレイキングは正直女性にはかなりハードだし、振付も単調になりやすいわ。ヒップホップなら私と六条さんが 得意ジャンル だから、チームを引っ張っていけると思うし、しっかり教えれると思うわ。何か異存はある?」 「ブレっ・・・」 と覚悟が何かを言いかけたが、やめてそのまま黙りこんだ。
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