ムーブ5

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「ストレッチは終わったみたいね。  じゃあ、これからダンスの基礎となるアイソレーションとリズム取りを教えるわ。  最初はできなくてもいいから、なるべく私の真似をするようにして、動きを覚えて」  透が「ハイッ」と裏返った声で答えると、真由美はクルっと後に向き直り、音  楽プレイヤーのスイッチを入れて曲を流し、体を動かし始めた。 「まずは首からいくわよ。  除々に下の部位になっていくからついてきてね」 ゆっくりとした曲に合わせて、真由美の首が前後左右に規則正しく動いた。 透は「むむむ」とか「イタッ」とか呟きながら、一生懸命に真由美の真似をし た。 首から胸にかけての動きが終わり、腰の動きに入り始めた。 「腰は最初はすごく動きにくいけど、がんばってね。  ダンスは腰で踊るっていう人もいるくらい、重要な部分だから」 と真由美が言ったが、透は若干話しを聞いていなかった。 なぜかというと、自分の視界に入る動くお尻に気を取られて、しかたがなかったからだ。 真由美のヒップはよく動くだけでなく、キュっと上がっていて誰が見てもセ クシーだ。 透が真由美のお尻にくぎ付けになっていると、真由美が突然「コラッ!」と 怒った声を上げた。 それを聞いた透は、ヒップにくぎ付けになっていたのがバレて怒られたのかと思い、体を「ビクビクッ」と硬直させた。 透が緊張のあまり冷や汗をかいていると、真由美はこちらに向き直り、透を通り過ぎて、覚悟と雷華のほうに歩み寄った。 「部長!  六条さん!  何してるの!  喧嘩してないで、仲良く話し合って振りを決めてちょうだい!」 真由美が叫んでいるのを聞いて、透が覚悟と雷華の方を見ると、2人が上下に重なり合い取っ組み合いの喧嘩 をしているのが見えた。
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