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「ストレッチは終わったみたいね。
じゃあ、これからダンスの基礎となるアイソレーションとリズム取りを教えるわ。
最初はできなくてもいいから、なるべく私の真似をするようにして、動きを覚えて」
透が「ハイッ」と裏返った声で答えると、真由美はクルっと後に向き直り、音
楽プレイヤーのスイッチを入れて曲を流し、体を動かし始めた。
「まずは首からいくわよ。
除々に下の部位になっていくからついてきてね」
ゆっくりとした曲に合わせて、真由美の首が前後左右に規則正しく動いた。
透は「むむむ」とか「イタッ」とか呟きながら、一生懸命に真由美の真似をし
た。
首から胸にかけての動きが終わり、腰の動きに入り始めた。
「腰は最初はすごく動きにくいけど、がんばってね。
ダンスは腰で踊るっていう人もいるくらい、重要な部分だから」
と真由美が言ったが、透は若干話しを聞いていなかった。
なぜかというと、自分の視界に入る動くお尻に気を取られて、しかたがなかったからだ。
真由美のヒップはよく動くだけでなく、キュっと上がっていて誰が見てもセ
クシーだ。
透が真由美のお尻にくぎ付けになっていると、真由美が突然「コラッ!」と
怒った声を上げた。
それを聞いた透は、ヒップにくぎ付けになっていたのがバレて怒られたのかと思い、体を「ビクビクッ」と硬直させた。
透が緊張のあまり冷や汗をかいていると、真由美はこちらに向き直り、透を通り過ぎて、覚悟と雷華のほうに歩み寄った。
「部長!
六条さん!
何してるの!
喧嘩してないで、仲良く話し合って振りを決めてちょうだい!」
真由美が叫んでいるのを聞いて、透が覚悟と雷華の方を見ると、2人が上下に重なり合い取っ組み合いの喧嘩
をしているのが見えた。
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