ムーブ1

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今朝は雲ひとつない快晴。 透はお気に入りのデジタル一眼レフを首に下げ、山道を上っていた。 今日の目的は、この山の頂上から見える街の景色を撮りにきたのだ。 期待に胸を膨らませながら林を抜けると、目の前に雄大な街の景色が広がった。 この場所は透のお気に入りのシャッターポイントだった。 いい写真の取れるポイントを探そうと、横這いに景色を眺めながら歩いていると、ふと、崖の方に人が座っているのが見えた。 なにやら、挙動不審な感じのする人だった。 透が「なにをしているんだろう」と訝しげに見ていると、その人物は座っている状態から腕立て伏せのポーズになった。 そして、腕立てのポーズから徐々に足を持ち上げていった。 足は天に向かって上がっていき、最終的には綺麗でまっすぐな逆立ちになった。 透が驚いて見ていると、その人物は逆立ちのままピョンピョンと上下に跳ねだした。 透は何が何だかわからなかったが、一連の動きを見ていて、その人物にただならぬ雰囲気を感じ、じっとその人物の行動を見ていることにした。
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