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「しかし!
この女がブレイキングのことをバカにしやがったから!」
「あんただって私のことをチビチビ言ったじゃない!」
二人はお互いの顔を抓りながら叫んでいる。
真由美は深い溜息をつくと。
「草薙君。
とりあえず六条さんを部長から引き離して」
透は言われた通り、雷華を羽交締めにすると、やっとの思いで覚悟から引き離
した。
二人の臨戦状態が落ち着くと、真由美はさらに二人に近づいてこう言った。
「いったい何が原因でこうなったの?
二人ともダンスに関してはベテランなんだから、しっかりしてくれなくちゃ困ります」
覚悟も雷華も「むー」と脹れていたが、雷華がいじけたように喋りだした。
「だってこいつ。
私が振りを提案するたびに文句言うんだもん。
そのくせ、自分は何も提案しないしさ。
頑張って案を出してるこっちがイライラしちゃうよ。」
覚悟は雷華の発言につられるように反論した。
「俺は文句を言っているんじゃない。
単純に六条の出した振付が、カッコよくないからダメ出ししたんだ。
それに俺はヒップホップ経験はないから・・振りのことはよくわからんし・・ブレイキングの事はバカにされる し・・俺はビーボーイだし・・うああああ」
覚悟は自分の言いたいことが纏まらずにイライラして、頭を掻き毟った。
それを見ていた真由美は、「やれやれ」という顔をしたあとに優しい顔に
なり、覚悟の方を向いてこう言った。
「部長。
あなたはサークルをまとめるリーダーなんだから我慢は必要よ?
自分の意にそぐわない案が出たとしても、それがサークルのためだったら
受け入れる必要もあるわ。
あなたの自尊心はわかってる。
でも、我慢するビーボーイもかっこいいわよ?」
次は雷華に振り直り。
「六条さん。
ベテランの自覚を持って頑張ってくれてるのは感謝するわ。
でも、あなたのスキルや知識についてこれない人もいると思うの。
それに他のジャンルをバカにしてはだめ。
ヒップホップは相手をリスペクトすることが大切でしょ?」
と言った。
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