ムーブ2

2/4
前へ
/71ページ
次へ
今日は月曜日。 誰もが憂鬱になる、始まりの日である。 透も学校があり、通っている大学に行くために、朝早く家を出た。 パソコンで動画を見ていたので少し眠い。 謙崎覚悟と出会い。 見せてもらったブレイクダンスというものが気になり、夜遅くまでインターネットで検索していたのだ。 透は歩きながら考えていた。 透は覚悟の事をいい人だと思っていたが、もう会うこともないだろうとも思った。 あの場所を知っているという共通点はあるが、連絡先も知らず、いつ、あの場所にくるかもわからない。 少しだが、興味を持ったブレイクダンスも、縁の無かったものだろうと、心の中で納得していた。 そんな感じでボーっと歩いていると、薄らと人の声が聞こえてきた。 何かを叫んでいるようだ。 何を言っているのかはわからないが、その声はだんだん近くなっていく・・・。 気づいた時には遅かった。 自転車がすぐそこまで迫っており、運動神経のない透は身動きできず、自転車を受け止めるようにしてぶつかってしまった。 (ガシャーン!カラカラカラ・・・) 派手な音のあとに、静かに響く車輪の音。 透が放心状態で体を起こし、周りを見ると、そこには女の子が一人倒れていた。 どうやら小学生くらいの女の子とぶつかってしまったらしい。 ハッと事の重大さに気付いた透は、すぐさま女の子に近寄り「だいじょうぶですか!?」と声をかけた。 女の子は頭を押さえながら。 「しっと・・うぇああーゆーるっきんあと・・・」 と言った。 というか透にはそう聞こえた。 英語のようだが透には意味がわからない。 女の子は頭を押さえたまま自転車を起こすと、キッとこちらを一瞥して 行ってしまった。 完全に怒らせてしまったようだ。 透は「悪いことをしてしまった」と心の中で思い、ションボリした気持ちで大学までの道のりを急いだ。
/71ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8人が本棚に入れています
本棚に追加