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今日は月曜日。
誰もが憂鬱になる、始まりの日である。
透も学校があり、通っている大学に行くために、朝早く家を出た。
パソコンで動画を見ていたので少し眠い。
謙崎覚悟と出会い。
見せてもらったブレイクダンスというものが気になり、夜遅くまでインターネットで検索していたのだ。
透は歩きながら考えていた。
透は覚悟の事をいい人だと思っていたが、もう会うこともないだろうとも思った。
あの場所を知っているという共通点はあるが、連絡先も知らず、いつ、あの場所にくるかもわからない。
少しだが、興味を持ったブレイクダンスも、縁の無かったものだろうと、心の中で納得していた。
そんな感じでボーっと歩いていると、薄らと人の声が聞こえてきた。
何かを叫んでいるようだ。
何を言っているのかはわからないが、その声はだんだん近くなっていく・・・。
気づいた時には遅かった。
自転車がすぐそこまで迫っており、運動神経のない透は身動きできず、自転車を受け止めるようにしてぶつかってしまった。
(ガシャーン!カラカラカラ・・・)
派手な音のあとに、静かに響く車輪の音。
透が放心状態で体を起こし、周りを見ると、そこには女の子が一人倒れていた。
どうやら小学生くらいの女の子とぶつかってしまったらしい。
ハッと事の重大さに気付いた透は、すぐさま女の子に近寄り「だいじょうぶですか!?」と声をかけた。
女の子は頭を押さえながら。
「しっと・・うぇああーゆーるっきんあと・・・」
と言った。
というか透にはそう聞こえた。
英語のようだが透には意味がわからない。
女の子は頭を押さえたまま自転車を起こすと、キッとこちらを一瞥して
行ってしまった。
完全に怒らせてしまったようだ。
透は「悪いことをしてしまった」と心の中で思い、ションボリした気持ちで大学までの道のりを急いだ。
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