8人が本棚に入れています
本棚に追加
1限を受けたあと、4限まで時間があったので、透は何をしようか考えながら、キャンパス内のベンチに座っていた。
透はいまだに大学に友達がいない。
もともと社交的な性格ではないので、自分から友人を作ろうともしなかった。
声をかけられても深い仲になろうとしない、そんなスタンスだったので結果がこうなのだ。
喋る相手もいないので、透はデジカメを取り出すと、撮り貯めた写真を整理し始めた。
30分くらいたっただろうか。
透が写真の整理に夢中になっていると、体を屈めてデジカメを見ている先に、人影ができた。
透が「なんだろう」と思い顔を上げると、目の前には謙崎覚悟が立っていた。
二人は驚いたように顔を見合わせると、覚悟が先に口を開いた。
「ガッハッハ、おまえこの学校だったのかぁ!」
透もうれしくなり。
「覚悟さんもだったんですね」
と大きな声で言った。
「こんなところで何してんだ?」
「いや、ちょっと写真の整理を・・・。
覚悟さんは?」
「俺は勧誘をしててな。
いろんなやつに声かけてんだ」
「勧誘?なんのです?」
覚悟はちょっとはにかんだ様になった。
「サークルの勧誘さ。
まぁ、察しの通り、ダンスサークルだ。
もしよかったらおまえもどうだ?」
最初のコメントを投稿しよう!