契約書No.1

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ビルの屋上からの夜景はとても美しい。 最近では、この夜景ですら金で買えると思ってしまう。 まずい…… 感傷に浸っている場合ではない。 そんな事より、とにかく早くこの事態を何とかしなければ。 「なあ、もういいだろ?死ぬなんて言うなよ」 俺は、ようやく屋上のフェンスごしまで彼女を追い詰めると、両手を広げながら優しい口調で説得を開始する。 「いや!それ以上近づかないで!秀人に捨てられるくらいなら死んだ方がマシ!」 あぁ、マジ面倒臭ぇ…… 人生初めてのピンチに頭がおかしくなりそうだった。 そう。俺はいつだって自分の思い通りに生きてきた。 出来る事ならこのまま逃げ出したいとさえ思った。
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