契約書No.1

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彼女はハイヒールを脱ぎ捨てると、フェンスを乗り超え屋上のフチギリギリに立つ。 慌てて俺もその後を追う。 どうせ本気ではないだろう。冷静に説得すれば彼女だって怖くなって戻るに違いない。 「来ないでって言ったでしょ!」 「ちょっと待てよ。本当に俺が悪かった。お前の気持ちも考えずに酷いことをして。とりあえず部屋に戻らないか?もう一度冷静になって話し合おう」 「もう無理だよ……」 彼女は小さな声でつぶやく。 「えっ、今なんて……」 彼女は目を閉じると、フェンスから手を離し、上を向く。 「おいっ、待て!……危ないっ!」
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