186人が本棚に入れています
本棚に追加
ふと気が付くと、俺は人込みの中心に立っていた。
よく分からないが、全員俺を避けるように周りを囲んでいる。
そして、どれもみな引き攣った表情をしていた。
その中の一人が「救急車!」と叫んだ。
ざわめく人々。
あれ……そういえば俺、今落ちてたよな?
首を傾げ、ビルの上を見てから順番に足元を見ると、誰かが地面の上で俯せになっていた。
見慣れたスーツ。オーダーメードで五十万はしたスーツだ。
あれ?……俺?
その姿に血の気が引く。
「やっぱ、死んだのか……俺は」
そうつぶやいて、その場に座り込むと、後ろから声が聞こえた。
「その通り。あんた、物分かりがいいね。気に入ったよ。しかも今までで最速記録だ」
最初のコメントを投稿しよう!