過去の出来事が悪夢となり少年の今をも蝕む(翔side)

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そんな時は呼ぶと必ず、 返事がしてくれたり、 姿を現してくれるんだ。 お母さんは、家に居る時は、 いつでも、僕が呼んだら わかるように、 トイレもお風呂も 少しだけ、扉を開けているみたい。 そして寝る時は、 お母さんのパジャマを、 握っていないと不安で眠れないんだ。 中学3年になって恥ずかしいけど、 仕方ないだよ。 今まで何度も一人で寝ようと、 頑張った事もあるよ。 でも、一人で寝て、 目を瞑り暗くなると すぐに、いつも同じ夢を見るんだよ。 夢の中では、小さい頃の僕なんだ。 ・ ・ ・ ・ そこは、とても暗くて、 何もかもが大きくて、 巨人の家なんだろうな。 僕はとても小さくて、 大きく広いベッドの 上に居るんです。 そして、隣に寝ていたはずの ママが居ない。 代わりに、 相棒のクマのぬいぐるみが 居たんだ。 その相棒が言うんだ。 『翔のママは悪い巨人に捕まってるよ。 助けに行かなきゃ』 僕は心細いけど、 ママを助けに行かないと、 と、勇気を振り絞るんだよ。
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