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12年前…
当時、3歳の翔を寝かしつけ、
起こさないように、外出しました。
まだ、若い身体を持て余していた私。
妻子持ちの男性との、
わずかな時間の大人の情事。
2,3時間で帰るつもりでした。
それぐらいなら、翔も起きないはずだから…
しかし、失神してしまうほど情事に耽り
そのまま、寝入ってしまいました。
目覚めて時計を見ると午前6時。
翔が起きてしまうかもしれない時間。
急いで自宅まで送ってもらいました。
『お願いだから眠っていて』
そう祈りながら、玄関を開けて
最初に目に入ったのは
お気に入りのぬいぐるみを
抱きかかえるようにしながら
泣き腫らした目の翔が
息も絶え絶えに横たわっていたのです。
すぐに救急車を呼び、病院へ向かいました。
幸い命には別条ありませんでしたが、
結構、おしゃべりだった翔は、
声を出すことが出来ませんでした。
唇は動くのに、声が出ないのです。
翔自身、声が出ないのが不思議なのか、
何度も何度も唇を動かします。
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