母親である私の過去の過ち(美鈴side)

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それでも声が出ないので、 とうとう泣き出しました。 鳴き声の無い泣き顔、 唇だけが、訴えかけるように、 『ママ、ママ』と、何度も動いていました。 私はたまらず翔を抱きしめ、 「ごめんね、ごめんね、翔、ごめんね」 何度も謝りました。 翔が泣き疲れて眠るまで、 抱き締めたまま、何度も それほど私は翔の心に深く大きな傷を、 負わせてしまったのです。 私は誓いました。 この先、翔が私を必要としなくなる、 その時まで翔の為だけに生きようと。 泣き疲れ眠ってしまった翔を抱いたまま 朝まで共に過ごした男性に電話をして、 今後、二度と逢わない事を告げました。 不倫関係の情事、 多少の渋りはあったものの、 別れる事は出来ました。 それからは何をするのにも 翔を中心に考えました。 私もまだ若く再婚話も、 勧められた事もありました。 だけど一人寝が、 出来なくなってしまった 翔を抱えては再婚など、 出来るはずもなく、 全て丁重にお断りしました。
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