2014

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「トシカゲ学校辞めるって。」 人伝いに聞いた話に私は耳を疑った。本当かどうか真相を確かめたくて私はトシくんを探して学園を走った。 大体の目星はついてる。この時間は多分体育館だ。ここからはかなり距離があるけれど私は休むことなく走った。 「ハァハァ…いた。トシくん!」 私は体力がないくせに全力疾走したせいでヨロヨロになりながらトシくんに近づいた。 「千華ちゃん。どうし……って大丈夫?」 「ハァハァ…ゼェハァ…ゲホッ…ちょ、タンマ…;;」 私はその場に座り込みなんとか息を整える。その間優しいトシくんは背中を擦ってくれた。 「で、どうしたん?」 「……トシくん学校辞めるって本当?」 なんとか呼吸が整うと私はトシくんを真っ直ぐ見つめて聞いた。どうか…どうか間違いでありますように! 「あぁ、うん。そうやよ。」 なんとも当たり前のように返され返事に思考が止まった。 「ほ、んと…に?」 自然と声が震えているのが自分でもわかった。 「うん。あとで千華ちゃんにも報告しようと思ったんやけど。」 「………っ!」 辞めないで!とかもっと一緒にいたい!とか言いたいことはいっぱいあるのに言葉にできなくて。そんな権利私にはない。とどこか冷静な私が止めた。
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