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 有紗は携帯をいじって、「これこれー」と佐智子に画面を見せてきた。佐智子は野菜炒めを噛みながら、画面を覗き込む。  飲みについてのメールだった。 「いつだっけー。忘れたけど、康平覚えてる?」 「あー……、うん」 「そいつらとまた飲むから。多分メンツもそんな変わってないだろうし」  バッグから取り出した手帳に、金曜日の飲みの時間をメモして、それをまた仕舞った。 「メンバー変わってないなら良かった」 「……佐智子さぁ、もっと積極的にいかないと。あんた小動物みたいで可愛いんだから」  有紗は眉間に皺を寄せて、ストローから豆乳を啜る。中身がほとんどないのか、特有のズズズ、という音が鳴った。  ――かわいくないし、積極的と言われてもなぁ。……小動物って?  佐智子は頭の中でクエスチョンマークを浮かべ、口を動かしながら、首を横に振った。 「結構な人数でやるみたいだしさ、今回ちょっと探してみなって」  康平良いやつだから友達も良いやつっしょー、有紗は断言するように言って、豆乳パックを潰した。探すって、誰を――なんて聞き返すのは、愚問に違いなかった。
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