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 講義を終えた佐智子は、違う科目を履修する有紗と合流した。渋い顔をして講義室を出てきた有紗に、どうしたの、と尋ねると、「もうこの講義取らないかもー」と有紗は口を尖らせた。佐智子は、先週嘆いていた中間テストが返ってきたのだろうとすぐに気付いた。 「っしゃー、今日は飲むんだからー!」  半ば自棄になっている有紗の隣を歩きながら、二人は大学の食堂に入った。一日の最終講義を終えたところだから、食堂は混雑していた。座れる席を探して荷物を先に降ろし、席に着く。 「――緊張してる?」 「まぁ、多少……。でもほとんど顔見知りでしょ?」  佐智子の問いかけに有紗は頷くと、時計を見て「一旦帰る? お腹もある程度膨らましておいたほうがいいかも」そう言い、食堂テーブルに頬杖をついた。佐智子は後ろの壁にある時計を見たあと、「あと一時間か。ここで軽く食べるよ。有紗は?」「私も食べよーっと」財布を取り出して、二人は立ち上がった。  お互い、軽めのメニューを頼んで、再び席に着いた。向かい合うかたちで食べていると、隣の空きテーブルに5人の男子が座った。  有紗が手を止めて目を丸くし、声を発する。 「あ、康平じゃん」 「おっ、有紗! 佐智子ちゃんも久しぶり。今日佐智子ちゃんも来るんだよね?」 「う、うん」 「康平、佐智子に飲ませ過ぎちゃ駄目だからねー」  ジト目を向けてお茶を飲む有紗に、康平は肩をすくめた。
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