確信

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トイレの中、手を洗いながら鏡に写った自分を見る。 忙しさにかまけて、きつく一つに結んだままの髪の毛。 朝、メイクしただけのリップクリームしか塗られていない落ちかけの化粧。 つくづく、自分の女っけの無さに呆れて溜め息を漏らす。 ゛好き ″ 自分の気持ちに気が付いてから、富田の顔が始めはまともに見れなかった。 今日だって、アルコールを大量に口にする事で、何とか話せてる。 いつから、こんな臆病になった? 昔はもっと…素直に ゛好き ″ そう言えた筈なのに。 歳を重ねれば重ねる程、素直になれなくて、少しでも傷付きたくない、そうやって自分を守る事ばっかり考えるようになった。 恋愛って…もっと楽しかったのに…。 こんな関係になる前に戻れるなら…戻りたい。 ねー、富田。あたし達、もし普通に出逢ってたら…。 あたしは、こんな気持ちにはならないで済んだ? 苦しくて、息が出来なくなった。 もー、やだ、帰ろう…。 .
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