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「珍しいじゃんか、お前の部屋が綺麗なんて」 部屋にやって来た富田に、開口一番言われた事。 「あー、まぁ…」 自分でも驚くぐらい片付いた部屋を眺めた。 富田が金曜の夜に来ると解ってから、毎日少しずつ片付け始めて。 金曜の今日、仕事から急いで帰って来たあたしは、2週間ぶりの掃除機をかけた。 「これ、冷蔵庫に入れるぞ?」 「あ、うん」 買ってきたビールを冷蔵庫に入れる富田の後ろ姿を見ていた。 「ねー、そのTシャツ、freeの?」 「これ?あー、何年か前のな。お前もビール?」 「うん、サンキュ」 缶ビールを2本持った富田は、テーブルの向かいに胡座をかいて座った。 「いいね」 「何がだよ?主語がないからわかんねーよ」 言いながら、プルタブを先に開けた富田が、急かすようにあたしの目の前に缶を出す。 「あー、ごめんごめん」 慌ててプルタブを開けて、富田の缶ビールにあたしの缶をくっ付けた。 「お疲れ」 「おー、お疲れ」 .
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