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「デザインどーなった?」 「あー、ぼちぼち。ちょっと待って」 そう言って、あたしは自分の大きなバッグの中からスケッチブックを取り出して、富田に手渡した。 ペラペラと1枚ずつデザインを真剣に眺める富田。 「おっ、これ…」 「えっ、どれ?」 富田の見てるページを上から覗けば、それはあたしが一番気に入ってるデザインで。 「あー、これね、あたしも一番気に入ってる」 「素材は?」 「ガーゼみたいなのがいーなーと思ってる。洗いざらしっぽくしたいから、シワ加工して」 「おー、いいな、それ」 缶ビールを飲みながら、富田は笑った。 「こないだ、もう一色はデニムって言ったけど、それもやめとく。ちょっと通るか解らないけど…藍染、どーかな?」 少し前に思い付いた事だった。 全く同じ柄が出ない上に、手間暇もかかる藍染。 でも、あの独特な模様がすごく好きで、真っ白なデニムを藍染した事があった。 .
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