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「いんじゃねーの?」
「へぇっ!?」
その言葉に驚いて、起き上がったあたし。
「だーかーらー、いんじゃねーのって言ってんの」
「シワ加工と藍染で?freeのイメージもあるし…無理しなくていーよ」
「あ?イメージもくそもねーだろ、今回のデザインは、darlingの松岡まこ にオファーが来たんだろ?」
言いながらビールを飲む富田は、一気に飲み干して 缶を潰した。
「だって…ダブルネームだよ?これでもし、コケたらさ…freeの売り上げにも影響するかもしれないし…」
そう。それは、あたしが一番怖い事。
万が一、この企画が失敗に終わったら…
darlingはまだしも、富田のfreeにまで迷惑がかかってしまう。
せっかくの完売記録トップを、あたしが潰す訳にはいかない。
「なぁ…お前さ」
あたしの置きっぱなしにした缶ビールを取って、隣にやって来た富田がベッドに腰かけて、あたしの顔を覗き込む。
「な、何っ!?」
その近すぎる距離に、あたしは思わず少し身を引いた。
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