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「遥君…歯医者、遥君てゆーの」
「なんか女みたいな名前だな…ハハッ。お前と逆じゃねーかよ」
「そーかもね…あたし、男に生まれたかった」
そしたら…あんたとは親友になれた気がする。
「ハハッ…お前、男に生まれてたら多分…俺と親友だったかもな?」
富田も そう思ってくれてて嬉しいよ。
「そだね…」
「なぁ…」
その声で富田と視線がぶつかった。
「なんで、いつもそんな悲しそうな顔すんだよ…。歯医者と上手くいって、お前…幸せなんじゃねーのかよ?」
「幸せ……だよっ…」
胸が詰まって それ以上何も言えなかった。
無言のまま、富田はあたしを抱き締めた。
その腕の中で、優しく背中をさすってくれる手に、あたしはただ泣く事しか出来なかった。
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