ささやかな幸せ

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「乾杯ー!!」 いつもの居酒屋で、いつもとは違う大きなお座敷。 今回、この企画に携わってくれたみんなで打ち上げをしにやって来た。 「あ、まこさん、後で出版社の方も顔出しに来るって言ってましたよ」 隣の恵美ちゃんが、ビールを飲みながら言った。 「あー、ホントに?来るなんて言ってなかったのに」 「なんか、噂では…まこさんにお熱らしいですよ!?」 「はぁっ!?」 「お疲れ、ここ、いーか?」 「あー、うん…」 ジョッキを持って隣に座った富田の服が視界に入る。 「あっ…」 「何だよ」 少し膨れっ面な顔で、富田はあたしを見た。 「そのシャツ…」 「着ちゃ わりぃーのかよ、これ、一応俺のブランド」 白い細身のストレートのパンツに、藍染のシャツをさらっと1枚で着こなして。 胸元に見えた、富田の好きなクロムハーツのゴツめのネックレス。 「あ、うん、似合ってる…」 「お前も、似合うな ハハッ」 「ありがと…」 今、あたしも、富田と同じ藍染のシャツをタンクトップの上から羽織ってる訳で…。 ペアルックみたいで、何だか恥ずかしい。 .
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