ささやかな幸せ

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「富田さん、お久しぶりです」 「お久しぶりです、鈴木さん」 鈴木さんが、さっきあたしが座ってた富田の隣に座ったのを横目に見ながら、あたしは鈴木さんの反対の恵美ちゃんが座ってる所へ向かった。 「恵美ちゃん、入れてー、ごめん、狭い?」 「大丈夫です!!まこさん、細いんで」 「何ー?褒めても何もでないよー?」 「まこさん、細いしー足長いしー、なのに胸はあるって…普段何食べてんですか?」 「えー、酒かな、ハハハッ」 「まこさん、ホントにお酒好きですもんね。富田さんと対等に飲めるのって、この会社でまこさんと和美さんぐらいじゃないですか?」 「ハハッ…そーかもね」 恵美ちゃんと他愛もない話しをしながら、あたしはやっぱ、ビールを飲んで。 ジョッキを持った時、視界に入ったあたしの右の中指。 それを見て、自分でも顔が緩んでいくのが解った。 「あ、まこさん珍しいー、指輪なんて」 「んー、何となく?」 「しかも、それ男物じゃないですか?彼のですかー!?」 「違う違う」 「なーんだ…」 「残念でした、恵美ちゃん」 もう一度その指輪を見てから、ジョッキのビールを飲み干した。 .
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