ささやかな幸せ

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「お前、真っ直ぐ歩けてねーじゃん」 「いーの!!気分いーから ハハハッ」 街の雑踏をバックミュージックにしながら、鼻歌を歌って、酔った足で富田と歩いて帰る。 フラフラ歩くあたしに、後ろから来た車はクラクションを鳴らす。 「うるさーーーい!!ハハッ」 鳴らした車に向かって大声で叫びながら車を追いかけて少し走り出す。 「っと、あぶねーって」 言いながら、富田に絡め取られた左手。 「お前、ホントに酔っ払うとタチ悪い」 富田の困った顔なんかお構いなしに、あたしは気分が良くて。 「フフッ…何これー?」 繋がれた手を、思いっきり高く上げた。 「車、ひかれんだろーが、バーカ」 「何それー、子供じゃないんだから大丈夫だってーハハハッ」 「あー、もー、いーから、酔っ払い帰るぞ」 「りょーかい!!」 ちょっとイライラしてる富田に、繋がれてない手で敬礼をして笑った。 歩き出した富田、あたしは繋がれた手に、ぎゅっと力を入れて握り締めると、富田は振り返って ゛ほら 行くぞ ″そう言って、くしゃっと笑った。 .
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