ささやかな幸せ

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「おっとっと…ったぁーい」 部屋に着いて、なかなか脱げないアンクル丈のブーツに悪戦苦闘して、挙げ句、廊下の壁に頭をぶつける始末。 「バーカ、何やってんだよ…ったく」 廊下に倒れ込んだあたしの、まだ脱げてないブーツを富田が脱がす。 「ごめーん」 「ほら」 差し出された手に、あたしは両手を出して。 それを富田は一気に引き上げる。 「わぁっ!!」 強い力加減に、胸に飛び込んだあたしを、富田は抱き締めた。 「なー、まだ酔ってんの?」 「んー、酔ってない ハハハッ」 「バーカ、酔ってんじゃん」 「眠ーい」 「じゃー、寝ろ」 あたしの手を引いて、ベッドまで連れて来た富田は、布団を捲ってあたしを寝かせた。 「じゃーな、鍵締めてポストに入れといてやるから、もー、寝ろ」 「えー、帰っちゃうのー?一緒に寝よーよ」 酔ったあたしは子供みたいに、駄々をこねて、ベッドの上で手足をジタバタさせた。 .
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