ささやかな幸せ

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「起きたか?」 物音がして、目を開けると煙草を吸ってる富田と視線がぶつかって。 「んー、おはよ」 ベッドから起き上がって、冷蔵庫に向かった。 「なんか飲む?って言っても、水とビールしかないや」 「あー、水でいい」 ペットボトルを2本手にして、ベッドに腰かけながら、富田に手渡した。 「はい」 「お、サンキュ」 水を一気に喉の奥へと流し込んで。 「あー、おいしー」 「二日酔いじゃねーの?」 「んー、なってない」 しこたま飲んだのに、二日酔いにはなってなかった。 なんでだろ…? 気分が良い酒だったから、かな。 「珍しーな、お前にしては」 「そーかも、あ、そのバッグから煙草取って」 バッグを漁った富田は、あたしが伸ばした手に煙草を置いた。 「あんがと」 口に1本加えたまま、お礼を言ったあたしに、富田は笑いながらジッポで火を点けた。 .
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