偶然

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二日酔いの頭を押さえながら、瞼を開けた。 「は?」 ここは富田の部屋で。 あたしが寝てるのはおそらく富田のベッドで。 さっきから聞こえる寝息に嫌な予感がして、視界を隣に移した。 「えぇー!!!!」 「あー、うっせーよ…」 あたしの大声に 耳を押さえる富田。 「なんで あんたが隣で寝てる訳!!」 「なんでって、ここ俺ん家だからな」 まぁ、何度も泥酔して富田の部屋に泊まった事はあったけど、さすがに同じベッドで眠った事はなかった。 「あー、そっか。ごめん、昨日飲み過ぎた。あたし帰るわ」 言いながら起き上がろうとして、背筋が凍りついた。 あたしは下着姿な訳で…。 視線の先に見えたのは、昨日あたしが着てた服。 「ねぇ…もしかして、した?」 隣でまだ眠そうに目を擦る富田。 「あー、したよ」 あー、コーヒーね、みたいな感じで返事をする富田を睨んで。 「冗談でしょ?」 .
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