偶然

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「覚えてないの?」 「覚えてる訳ないでしょ、散々飲んでたんだから」 「なーんだ、そっか残念」 その言葉と一緒に、あたしの頭をわしゃわしゃと撫で回す。 「ちょっと、触んないでよ!!とりあえず着替えるから出てっ……ンッ……」 撫で回してた手が、あたしの頭を押さえて富田の顔が視界を埋め尽くす。 富田の胸を思いっきり叩くと、すぐに離れていった唇。 「おはよーの挨拶?」 くしゃっと笑いながら言った後、寝室を出て行く富田を見送ってから、溜め息を一つ吐く。 待って、一旦 整理しよう。 酔ったあたしは、富田の部屋に泊まった訳で。 同僚の富田と……した。 あー、もー、昨日のあたし、なんで飲んだんだ!! てか、和美は? 一緒に飲んでたじゃん。 「なー、コーヒー飲む?」 ドアの向こうから聞こえた声に、慌てて服をかき集めて 急いで着替える。 「飲むー」 はぁ…コーヒー飲んでる場合じゃないから…。 .
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