躊躇い

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ここしばらく、富田と身体を重ねる事がなくなった。 気が付けば、こーゆー関係になる前みたいに戻ってて、それが嬉しいよーな、ほんの少し寂しいよーな…矛盾した想いが交差する。 「まこさーん、サンプルあがってきましたー」 「はーい、今行くー」 スケッチブックを閉じて、デスクの上に散らばった色鉛筆をしまってから席を立った。 「あっ、まこ!!いたいた!!」 フロアを出て会議室に向かう途中、和美が慌てた顔でやって来た。 「どーしたの、あんた、そのカッコ何?」 甘めの服ばっかりな和美が、なぜか今日はスキニーを履いて、darlingのカットソーを着てた。 「あー、これね、これは今の男の趣味だから気にしないで」 サラッと言った一言に、あたしは笑いが込み上げる。 「和美も変わったねーアハハッ、男の趣味に合わせられるよーになったんだ…ハハハッ」 「うるさいなー、もう!!」 少し顔を赤くして、和美は照れ臭そうに笑った。 和美は最近、合コンで掴まえた年下の男にハマってるらしい。 「それより!!富田がさー、もしかしたら今年のアレ、選ばれるかもって!!」 「アレ…?」 「そうっ!!ベストデザイン賞!!」 .
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