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「いただきまーす」
富田はなぜか、お粥を作ってくれた。
具合が相当悪いとでも思ってたんだろうけど。
まぁ、その気持ちがあたしは嬉かった訳で、でも、素直じゃないあたしは、
『なんで、お粥?』なんて言ったもんだから、富田はちょっと機嫌が悪くなった。
「どーなんだよ?」
「んー」
あたしは、黙ってお粥を口にして。
「旨いのか不味いのか、答えろよ」
テーブル越しにあたしを覗き込んで、感想を聞く富田が、なんだか可笑しくて、いや、可愛くてか。
あたしは笑ってしまう。
「プッ…ハハハッ」
「何笑ってんだよ、感じわりーな」
「ごめんっ…ハハハッ…美味しーよ、うん」
「何だよ、旨いなら早く言えよ」
ブツブツ文句を言いながら、富田は煙草を吸った。
懐かしい味がした。
子供の頃、風邪引いた時に母親が作ってくれたっけ。
でも、その時よりも、美味しいと思うのは、富田が作ってくれたから、かな…なんて感慨深い気持ちになった。
「なー、お前さ、明日ヒマ?」
「あー、ヒマだけど、何?」
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