躊躇い

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「はぁ!?無理、絶対無理!!あっ、ちょっと勝手に開けないでよっ!!」 富田が、クローゼットを勝手に開け始めて。 「あぁー、もー」 横から邪魔をしてみたものの、富田の力には敵わない訳で、諦めたあたしはベッドに腰かける。 クローゼットの中を、次々に漁る富田に。 「ねー、あんまぐちゃぐちゃにしないでよ」 「お前さ、ドレスとか持ってねーの?」 「ドレスって、何?」 「結婚式とか行かねーのかよ」 「パーティードレスとか?」 「あー、そー、ねーの?」 「それならあるけど…ちょっと、どいて」 最後に着たのは…いつだっけ? あー、高校時代の友達の結婚式か。 ここら辺に…あった筈なんだけどな…。 「あった!!これこれ」 クリーニングの袋に入りっぱなしのドレスを引っ張り出した。 「これしかないよー、他のは処分しちゃったから」 高校時代の友達は、あたし以外みんな結婚。 もう着る事のなくなったドレス達は、職場の若い子達にあげたんだっけ。 .
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