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「ほら、コーヒー」
寝室を出ると、あたしの毎朝飲むインスタントのコーヒーとは違う、高級そうないい香りがした。
「あー、サンキュ」
小さなキッチンで振り返った富田から、コーヒーの入ったマグカップを受け取ってソファに腰かけた。
一口飲んだ後、マグカップをテーブルに置いてから、ソファの上で膝を抱えて座り直した。
頭痛っ…やっぱテキーラ飲み過ぎた…。
「なー、お前朝飯、どーする?」
「んー、いらない。これ飲んだら帰る。ねー、煙草吸ってい?」
後ろ姿の富田をぼんやりと見ながら、返事を返す。
「あー、ここで吸って」
キッチンの換気扇を指差す富田。
「了解」
テーブルの近くに放り投げられてある、あたしのバッグを拾い上げて手探りで煙草を探す。
見つけた箱を手にして、キッチンの換気扇の下で 口に加えたそれに火を点けた。
寝起きの一服。
思いっきり吸い込んだ煙草は、二日酔いの頭にクラクラした。
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