躊躇い

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「ちょっと挨拶して来るから、お前テキトーに待ってて」 「え、やだよ、ねー、無理」 「酒でも飲んでろ」 「待ってよ、富田っ」 歩いて行こうとする富田のジャケットの裾を掴んだ。 「大丈夫だって、あんま飲み過ぎんなよ」 言いながら、あたしを抱き寄せて、唇に触れるだけのキスを落としてから、さっさと居なくなった富田。 何やってんの……バカ。 あたしは自分の唇を触りながら、固まった。 んー、今日は飲も…。 それから、1人で会場をフラフラして。 あっ、高そーな酒、発見ー!! テーブルに並べられた、高そーなシャンパングラスを手にした。 「うまっ…」 やっぱ、高い酒は違うねー。 あたしの普段飲んでる発泡酒が可哀想になる。 しばらくあたしは、高そーな酒を楽しんで、そーいえばお腹空いたな、なんて思いながらテーブルの食事を皿に盛り始めた。 貧乏性だからか、皿一杯に乗っけたそれ。 自分でも呆れて、笑いが込み上げた。 .
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