躊躇い

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あーあ、なんかお腹空いた。 大体、あんなパーティーのこ洒落た料理なんか、あたしの口に合わないっつーの。 家の近所のラーメン屋で、ビールでも飲みながら餃子食べよっかなー。 うん、そうしよ。 締め付けられて痛む親指を気にしながら、9センチのパンプスを鳴らして、あたしは駅に向かった。 「おじちゃん、ビールちょーだい」 「はいよー、何だよ今日は偉く綺麗なカッコしてるじゃねーか」 ラーメン屋のおじちゃんは、笑いながらビールを持ってきた。 「あー、まーね」 「おねーちゃん、べっぴんさんだから、男が黙ってねーだろ?ハハハッ」 こんなに着飾ったって、相手にして欲しいヤツには相手にされないんじゃ、何の意味もねーよ、あたしは心の中で悪態をつきながら、ビールを一気に流し込んだ。 「ぷっはー、やっぱビールでしょ、ビール」 .
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