躊躇い

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「あぶねーよ、バーカ」 「だって、あんたがびっくりさせるか…」 階段で、驚いて後ろにひっくり返りそーになったあたしを、富田の大きな手が引き寄せた。 片手で腰を引き寄せられて、見上げた富田はなぜか笑ってた。 「ちょっ…」 近い…、近すぎる…。 あたしは、少し跳ねる心臓が、富田にバレないか心配になって、目の前の胸を叩いた。 「濡れるから…離して」 「お前…なんでジャケット脱いでんの?」 「高そーだから、濡れちゃダメだと思って…あ、ちゃんとクリーニング出して返すから。ねー、富田のスーツも濡れちゃうから、離して」 アルコールが入ってるせーもあるけど、少しずつ大きくなっていく身体中をドクドク響き渡る音に、バカみたいにドキドキして、富田から離れようと試みた。 「離さねー」 あたしの腰に回してる腕にギュッって力が入った。 「何言ってん…」 「離さねーよ、俺のなんだから」 富田の唇が、あたしの首筋にキスを落として。 「ちょっ…あたしは、あんたの玩具じゃ…」 ゆっくりと顔を上げた富田と視線が絡まる。 .
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