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触れてる手の、親指だけが優しく動く。
「…まこ……」
少し掠れた低い声で、あたしの名前を呼びながら見上げるブラウンの瞳に、思わず唾を飲み込んだ。
「な、な…に……ちょっ…わっ…」
あっという間にベッドの上に引き摺り込まれて、あたしは富田の上に覆い被さった。
起き上がろうとするあたしの背中に、富田の大きな手が回る。
あたしは必死に、顔を上げて、富田の顔を見た。
「ちょっと離して、シャワー入ってくるから…」
「スる?」
愛のないSexなんて…悲しくなるだけだから、シたくない。
「お前が決めろ、シたくないなら、も…2度とこんな事しねーから…」
どーして、あんたがそんな苦しそーな顔なんかすんの?
富田は狡い…やっぱり狡い。
2つの選択肢を差し出して、あたしを地獄に堕とす。
このまま ゛シない ″
そう言って、この関係に終止符を打つか。
唇を重ねて、また身体だけの関係に戻るか。
富田の肩に置いた自分の手が震えた。
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