偶然

19/20
前へ
/340ページ
次へ
携帯が、けたたましい音を立てて鳴らす。 正直、二日酔いの頭に この着信音はキツい。 ベッドから抜け出して、携帯を手にすると ゛中川 和美 ″ の文字。 「まこ、おはよー」 タップすると同時に聞こえる大声に、思わず耳元から携帯を離した。 「おはよ。ちょっと声のボリューム下げて」 ゛何ー?二日酔い? ″ なんて、呑気な事を聞く和美。 一緒に飲んだのに、二日酔いの ゛ふ ″の字もない和美が羨ましく思える。 「で、和美は、あたしを置いていつ帰った訳?」 「置いて帰ったんじゃなくて、まこが酔っ払ったから解散したの!!」 「ねぇ和美。あたしさ…どーやって帰った?」 「は? まこ、覚えてないの?」 「うん、テキーラ飲んだのは覚えてるけど…そのあと記憶がない」 「だと思ったー。あんた、テキーラ飲んでから超酔っ払ってさー、散々Sexと男と女について熱く語ってたよ」 「え?マジ?」 ゛マジマジ!!すごい演説だったー!! ″ 和美は、ケラケラと笑いながら昨日の一部始終を話す。 『気持ちいーのは男だけ』 『愛なんかなくても男は勃つ』 『女はただの性欲の捌け口』 『相性がいい人に出逢った事がない』 『恋愛なんか もう懲り懲り』 『2年もご無沙汰だから欲求不満かも』 『彼氏はいらないけど、身体だけの割り切った関係ならアリ』 「あと、なんて言ってたっけなー?」 和美の口から、次々と出て来た言葉に固まった。 てかさ…酔ったあたし、何やってんの? …2年ご無沙汰なんて…何話しちゃってんの? 身体だけの関係、欲しがってどーすんだよ? 「や、も いーや。聞くのやめとく」 .
/340ページ

最初のコメントを投稿しよう!

14214人が本棚に入れています
本棚に追加