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身体を重ねて、揺らされながら、戯言のよーに
゛由 ″ その名前を呼んだ。
富田の熱に浮かされながら、声が枯れる程、何度も鳴かされて、その腕にしがみついた。
「…ッ…由っ…も…ムリッ…」
先に、その波を駆け抜けてしまったあたしの唇に、富田は優しくキスを落として抱き締めた。
「……早く…気付けよ…」
朦朧とする意識のまま、眠りについたあたしの耳には、富田の低くて掠れた声は届かなかった。
明け方近く、目が覚めると富田は居なかった。
テーブルに置かれた携帯が、まだ薄暗い部屋の中で光る。
゛鍵、ポスト入れといた ″
味気ないメール、ふと目に止まった、メールの受信時間。
たった10分前に届いたメールに、あたしは躊躇いながらも、コールボタンを押した。
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