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ソファに座りに直した富田は、眉間にシワを寄せながら、あたしを見る。
「何が?」
「…だから……好き…」
「何が、好きなんだよ」
あたしの近くまで、富田は顔を寄せて、ちょっと意地悪な顔をした。
「えっ…だから、…好きなのっ!!」
大きい声を出したあたしに、富田はゲラゲラ笑い出して。
「で、お前は、誰を 好きなんだよ」
「あー、もうっ!!…あんたが、好き!!
好きなの!!あー、好き、好き、好きっ!!」
半ば、ヤケクソみたいな告白をしたあたしの頭を、富田の両手が包み込む。
あたしは、これから言われる言葉に怯えながら、きつく目を瞑った。
「まーこ…」
優しい声に、ゆっくりと瞼を開くと、目の前のブラウンの瞳いっぱいに、あたしが写る。
「おせーよ、バーカ」
くしゃっと笑って、あたしのおでこにキスをした。
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