終わりのキス

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「お前さ…なんで、さっき言わなかった訳?」 「さっきって…いつ…」 「お前の部屋、居た時だよ」 「だって…それは…」 「日付、変わっちゃったじゃねーかよ、せっかくベストデザイン賞取った日だったのに、あーあ、ホントにおせーよ」 さっきから、口調はいつもと変わらないのに、ソファの上で抱き合ってるなんて、この空間が、あたしは何だか擽ったくて。 「だって…ダメだと思ってたんだもん…。その…身体だけの関係…だったから…」 「お前…やっぱりバカだな」 抱き合ってる腕を緩めて、唇が触れそーな距離に富田の顔が近付く。 「バカバカ言わないでよ、あんただって…」 あたしは、その言葉の続きが言えなくなった。 だって、富田が…ものすごく優しい眼差しで、あたしを見てたから。 .
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