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押し潰されそーな電車から降りたあたしは、早足で会社に向かう、月曜の朝。
心なしか、足取りが軽いのは、つい2日前に、いや、正確に言うと…昨日か、彼氏が出来たからなのか。
富田とは、昨日の夜まで、ずっと一緒に過ごした。
やっぱり、あたしの作ったカレーは不味くて。
『そーでもねーよ』
なんて、言いながら笑ってた富田の顔を思い出す。
ひょっとして、アイツ…味音痴なのかな。
そんな事を考えながら、会社のエントランスをくぐった。
「まーこ!!おっはよー」
「あー、おはよ」
相変わらず、和美のテンションは朝から高くて。
「ねーねー、富田っ!!やっぱ賞、取ったらしーよ!!」
知ってる。あたし、その会場に居たから。
なんて事は、まだ、和美には言わないどこう。
「ふーん…」
「何それ、あんた、富田と一緒にパーティー会場に行ったんじゃないの?」
「へぇっ!?…なんで、和美が知って…」
「バカじゃないの、うちの会社の人間、あの会場に何人居たと思ってんの。富田とまこがキスしてたーって、有名な話しだよ?」
「ちょっ、あれはっ…」
和美は、あたしの両肩に、ガシッと手を付いて。
「良かったね、まーこ!!もー、身体だけの関係じゃなくなって!!」
「ふぇっ!?なんで…」
「あたしの勘、なめんなよ!!じゃねー」
嵐のよーに去っていった、デニム姿の和美を見送って、あたしは小さな溜め息を漏らす。
バレてたか……。
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